厚労省、「市販薬控除」、「検診控除」を要望
カテゴリ:14.各省庁関係, 15.税制改正 トピック
作成日:09/17/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 厚生労働省がこのほどまとめた平成28年度税制改正要望には、「市販薬控除」、「検診控除」など、従来の医療費控除を補完する新しい所得控除の創設が盛り込まれた。

 「市販薬控除」は、市販薬を年間1万円以上購入した世帯について、総額から1万円を引いた金額を最大10万円まで所得控除の対象にするというもの。現行の医療費控除との選択適用。医療費控除は自己負担額が10万円を超えないと対象とならないため、金額的なハードルを下げることで使いやすくする。

 「検診控除」は、自発的な健康管理や疾病予防の取組みをフォローするもので、市町村や医療保険者等が行う健康増進・疾病予防事業のうち、自己負担額が発生するものを対象とする所得控除。がん検診や予防接種、特定健診、人間ドック等が対象となる。

 これらの要望は、高齢化社会の進展による医療費増加が問題視される中で広がっている「セルフメディケーション(自己治療)」の考え方に基づくもの。自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするという考え方で、
1)健康管理の習慣が身につく
2)病院等に行く手間と費用が省かれる
3)医療機関の過負荷(3分診療等)を軽減できる。
4)医療保険費を抑制できる
などの効果を得られる。

 この考え方に基づき厚労省では、「薬局」に対する税制支援も求めている。セルフメディケーション推進には、健康について気軽に相談できる環境や、専門家の適切なアドバイスの下で市販薬を安全に使用できる環境整備が重要。この点、薬局は薬剤師が常駐し、健康等に関する相談に応じられるほか処方薬の薬歴も踏まえて一般用医薬品等の使用に関する適切な情報提供を行うことができるため、セルフメディケーション推進の窓口となることが期待されている。

 そこで厚労省では、充実した相談体制や設備等を有する薬局(中小企業者)を対象とする不動産取得税の軽減措置の創設を要望。「充実した相談体制や設備等を有する薬局」の基準については平成27年秋頃までに策定し、同28年度から基準を満たした薬局の公表が開始される予定だ。高齢化社会の進展を背景にセルフメディケーションという考え方が広がりつつある中、厚労省の要望がどこまで通るかが注目される。

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