収益認識会計基準の取扱い、IFRS適用と日本基準適用に区別なし
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:09/23/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 収益認識、すなわち、売上計上の会計基準を開発している企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)の審議が難航している。「日本(国内)基準」の開発ではあるものの、国際会計基準(IFRS第15号)と遜色のない内容にせざるを得ない背景があるからだ。

 課題は幾つかある。例えば、「IFRSを連結財務諸表で任意適用している企業と日本基準を連結財務諸表および個別財務諸表に適用している企業とで異なる取扱いをする」か否か。

 IFRS任意適用企業からは、開発の審議が始まった段階で「個別財務諸表でも同じ基準が使える、それはコストの低下に繋がる。出来れば2018年1月1日以降開始事業年度から使えるようにしてほしい」旨の声が多く上がっていた。ただ、IFRS任意適用企業は現在、上場3500社の中で121社ほど。当然、3000を超える日本基準適用企業には、また別のニーズがある。「いずれのニーズも満たすにはどう調和を図るか、そこが難しい」(ASBJ)。

 9月15日開催の「第70回 収益認識専門委員会」では、体系を2つに分けることなく、IFRS適用企業のニーズと日本基準適用企業のニーズの両方を可能な限り満たす方向で基準開発を行うことで同意。「会計基準は、税法、会社法、自己資本比率規制等を始めとした国内の諸制度で用いられるため、実質的に2種類の基準となることは好ましくない」とのASBJの説明に納得した形だ。結果、IFRS適用企業と日本基準適用企業とで異なる取扱いはしないことで落ち着いた。