消費税の軽減税率制度の素案を公表~与党税制協議会
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:06/09/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 自民・公明の与党税制協議会は5日、消費税の軽減税率に関する資料を公表し、軽減税率制度の素案を示した。それによると、軽減税率の対象分野について、「まずは飲食料品分野を想定して検討」として、8種類のパターンを提示、また、課税事業者に新たに発生する区分経理事務については4案を併記した。同協議会は、「予め案を絞り込むのではなく、広く国民の意見を聞きながら、検討していく」との考えを示している。

 軽減税率の対象分野については、生活必需品にかかる消費税負担を軽減し、かつ、購入頻度の高さによる痛税感を緩和するとの観点から絞り込むべきとの考え方のもと、まずは飲食料品分野とすることを想定して検討。その中で、各国で行われている線引き例を当てはめて、飲食料品の全てを対象とするものから、精米だけに絞ったものまで8案を示した。減収額は、1%当たり200億円(精米のみ)~6600億円(全ての飲食料品)と幅がある。

 同協議会は、「当然、軽減対象範囲が広ければ広いほど、軽減分を埋め合わせるための財源の規模は大きくなり、その分、社会保障財源に影響を与える」と指摘。範囲と財源両方を勘案した議論や、実務上、線引きが明確であることは不可欠である点についても事業者等の意見を期待している。与党内では、公明党が当初主張していた外食と酒を除く案よりも、さらに菓子類や飲料、加工食品を除いた「生鮮食品」を推す声があるという。

 また、軽減税率制度を導入する場合、適正な税額計算のためには区分経理のための仕組みが必要となるが、事業者の事務負担や適正な請求書等が発行されることの担保、免税事業者への影響といった課題・論点について、(A案)区分経理に対応した請求書等保存方式、(B案)A案に売り手の請求書交付義務等を追加した方式、(C案)事業者番号及び請求書番号を付さない税額別記請求書方式、(D案)EU型インボイス方式、の4案に整理した。

 同協議会は、「ここに示した軽減税率導入への課題と論点について、広く国民各層において活発な議論がなされることを期待」している。今後、年末にまとめる与党税制改正大綱に向け、対象品目を飲食料品以外に広めるか、また最大の課題である軽減税率の導入時期など、制度の詳細を検討していく。導入時期は、昨年末の与党税制改正大綱に「消費税率10%時に導入」と明記したが、10%への引上げと同時なのか、その後なのか決まっていない。

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