4割超の中小・小規模企業が消費増税分の転嫁困難
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:07/09/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税8%への引上げが行われた4月以降、消費税引上げ分を「全く転嫁できていない」が10.5%、「一部転嫁できていない」が30.6%と、全体の4割超の中小・小規模企業が「転嫁できていない」と回答したことが、全国商工会連合会が実施した「中小・小規模企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」結果(有効回答数3626社)で分かった。特に、個人事業主や資本金規模の小さな事業者は転嫁できない割合が高い。

 転嫁できていない企業を業種別にみると、「飲食業」(51.6%)や「不動産業」(50.0%)、「宿泊業」(45.4%)、「小売業」(43.7%)など、主に消費者を相手に事業を営んでいる業種において割合が高い。転嫁できている理由としては、「商品・サービスの特性」が3割前後を占めている。一方、転嫁できていない理由としては、「消費者の低価格ニーズへの対応」や「競合相手との競争が激しい」が目立つ。

 また、消費税10%への引上げを想定した今後の転嫁状況の見通しについても、課税売上高1000万円以下の小規模企業では、「今後も転嫁できない」(11.5%)及び「転嫁できるかどうかわからない」(37.3%)で約5割を占め、売上規模の小さな事業ほど転嫁見込みは不透明となっている。10%への引上げ判断に当たっては、今回の税率引上げの影響が一時的なもので終息するのか否か、慎重に見極める必要があると指摘している。

 (今後も)転嫁できない企業は、規模の小さな事業者ほど多く、このまま転嫁できない状況が続けば、地域を支える小規模企業の経営はますます苦しくなる。有効な転嫁対策としては、「商工会の経営相談・セミナー等」が39.3%で最多。全国各地の商工会では、平成25年度から「消費税転嫁対策窓口相談等事業」を展開し、経営指導員等による指導やアドバイス、専門家によるセミナーを実施しており、その成果が現れたものとみている。

 消費税の引上げに伴う事務負担では、「値段の付替えや、カタログの価格表示変更」(45.1%)、「請求書や領収書、納品書等の切替え」(36.8%)、「複数の税率を管理する経理処理」(38.1%)に重い負担を感じている。また、食料品等を対象とする軽減税率の導入については、「記帳の事務負担」(35.1%)、「インボイス発行の事務・費用負担」(28.9%)、「対象品目の判断にかかる負担」(28.1%)を懸念する回答が目立っている。

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