通勤手当非課税限度額引上げ、年末調整か還付請求で処理
カテゴリ:15.税制改正 トピック
作成日:05/25/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 平成28年度税制改正において通勤手当の非課税限度額が月額15万円(改正前10万円)に引き上げられ、28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されている。このうち、政令施行前の1月1日から3月31日までに支払われるべき通勤手当で、改正後の新規定を適用した場合に過納となる税額については、今年の年末調整の際に精算を行うこととされている。

 年末調整の際における精算の具体的な手続きは、1)既に改正前の非課税規定を適用したところで所得税等の源泉徴収をした(課税された)通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を計算する。2)「平成28年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示して、1)の計算根拠及び今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入する。

 3)また、源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等①」欄には、給料・手当等の総支給金額の合計額から2)の新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の金額を記入する。4)以上により、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差引後の給与の総額を基にして年末調整を行うことになる。

 一方で、経理システムが間に合わないなどの理由で改正への対応ができず、政令施行日である4月1日以後に支払われる通勤手当についても、改正前の非課税規定で支払ってしまう場合もあると思われる。このような場合には、年末調整による精算で処理するのではなく、旧規定による源泉徴収を行った後速やかに誤納還付請求を行うことで、新規定を適用した場合の差額の還付を受けることができるようだ。

 新規定との差額精算については、時期によって適用関係が異なるため、支払った通勤手当がどの期間に対応するものなのかを確認する必要がある。例えば、平成27年12月31日までに支払われるべき通勤手当で、28年1月1日以後に支払われるものは、旧規定の適用となる。また、28年1月1日から3月31日までに支払われるべき通勤手当で、3月31日までに支払われるものは新規定となるが、旧規定適用の場合は年末調整での処理となる。

 さらに、平成28年4月1日以後に支払われるものは新規定が適用されるが、旧規定適用の場合は、還付請求を行うことで処理することになる。