パソコン等の必要経費性は認めたもののその他の費用は否定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/03/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 いわゆるライブチャットサービス業務に要したパソコンやウェブカメラ、衣服、水着、ソファー、カーテン等の購入費用並びに美容費の必要経費性の判断が争われた事件で国税不服審判所は、パソコン等の購入費及びインターネット接続料金の必要経費性は認められるものの、衣服、水着、ソファー、カーテン等の購入費用及び美容費については客観的に業務と直接の関係を有し、かつ業務遂行上必要なものとは認められないと判断、一部取消しの裁決を言い渡した。

 この事件は、インターネットのウェブサイト上でいわゆるライブチャットサービス業務を行っていた審査請求人が、5年分の確定申告をしなかったため、原処分庁が雑所得を認定、所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端になったもの。そこで請求人側が、1)衣服費及び化粧品購入費用等の金額も雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべきであり、2)国外居住の親族17名に係る扶養控除を認めるべきであると主張、原処分の全部若しくは一部取消しを求めたという事案である。

 これに対して裁決は、パソコン及びウェブカメラを使用し、インターネットへ接続することは業務の遂行上必要不可欠であるから、その購入費用並びにインターネット接続料金は減価償却費、消耗品費、備品費又は通信費として必要経費に算入するのが相当と判断。しかしその他の費用については、ライブチャットサービス業務をどのように行っていたのかを明らかにする動画や静止画等の客観的な証拠の提出がなく、審判所の調査でもこれを確認することはできなかったと指摘した。

 そのため、各費用の必要経費該当性については、業務関連性に関する答述等から合理的に判断していくほかないものの、各答述は総じて終始場当たり的で一貫せず、不自然かつ不合理な内容や業務に無理に関連づけて述べるものと認められるから信用できないと認定。さらに、請求人が提出したメモ書き等からみても、いずれの費用も客観的に業務と直接の関係を有し、かつ業務の遂行上必要なものとまでは認められないと判断して、棄却している。

(2014.05.22 国税不服審判所裁決)