法務省、配偶者の住宅相続に優遇案を提示
カテゴリ:05.相続・贈与税, 14.各省庁関係 トピック
作成日:03/09/2017  提供元:21C・TFフォーラム



 法務省は2月28日、法制審議会の相続部会で新たな配偶者相続の優遇案を提示した。これは、かねてより議論されていた配偶者の法定相続分の引上げ案が実現困難となったことから、その代替案として浮上したもの。

 優遇案は、長く連れ添った夫婦間で生前贈与や遺言による遺贈があった場合、贈与(遺贈)された配偶者を相続で優遇するというもの。結婚から20年以上経過した夫婦で、配偶者が居住用の建物や土地の贈与を受ける場合を対象とし、贈与者の死亡により相続人間で遺産分割する際に、贈与(遺贈)された居住用財産については遺産の計算に含めないこととする。

 相続税法には、20年以上連れ添った夫婦間で住宅や住宅取得資金の贈与が行われた場合に、2千万円まで非課税とする「贈与税の配偶者控除」の規定がある。しかし、同特例を適用して贈与した財産でも、贈与者の死亡後は、特別受益として遺産分割協議や遺留分減殺請求の対象となってしまう。税法と民法は別物だからだ。

 今回の法務省案は、相続税法の「贈与税の配偶者控除」の考え方を民法にも連動させるもので、遺された配偶者が住宅を確保しやすくなるとともに、住宅以外の遺産についても取り分を得やすくなる。