新住宅借入金等特別控除と消費税経過措置の重複適用なし
カテゴリ:02.所得税, 03.消費税, 15.税制改正 トピック
作成日:02/21/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の経過措置と住宅借入金等特別控除の“関係”をめぐり一部で誤解が生じている。

 消費税の経過措置は、増税の6ヵ月前までに工事の請負契約を結んだものについては、引き渡しが増税後でも契約時の税率を適用するというもの。消費税率は平成26年4月に8%、27年10月に10%へと2段階での引上げが予定されているが、25年9月末までに契約をしたものについては、物件の引き渡しが26年4月以後でも5%税率を適用。また、26年10月から27年4月末までに契約したものについては、物件の引き渡しが27年10月以後でも8%税率の適用となる。

 一方、住宅借入金等特別控除は、10年以上のローンを組んで住宅の取得または増改築をした場合、年末借入残高の1%相当額を10年間、所得税から控除できる制度。今年末で期限切れとなる予定だったが、平成25年度税制改正大綱には制度の4年延長と控除枠の拡大が盛り込まれた。借入限度額を現行の2千万円から4千万円に引き上げ、これにより10年間の最大控除額は現行の200万円から400万円に倍増(一般住宅の場合)。26年4月以後の居住分からの適用となる。26年3月居住分までは25年居住分の取扱いと同じ。

 マイホーム取得を検討している人にとっては朗報だが、注意したいのは、消費税の経過措置により5%税率の適用となる場合には、控除枠が拡大する新しい住宅借入金等特別控除の適用はないということだ。

 新住宅借入金等特別控除の適用が来年4月以後の居住分からとされているため、消費税の経過措置との重複適用できるのではとの誤解が一部で生じているようだが、大綱をよく見ると「住宅の対価に含まれる消費税の税率が8%または10%である場合に限る」とする旨の注意書きがあり、「それ以外の場合における借入限度額は2千万円とする」とされている。消費税の経過措置の適用を受けようと今年9月末までの契約を目標に掲げている人は少なくないようだが、この点に注意が必要だ。