取扱いが違う会社法上の株式交換と“株の交換”
カテゴリ:01.法人税 トピック
作成日:05/22/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 M&Aは会社規模拡大や弱点補強のための重要な戦略となるが、M&Aを行う際の選択肢の一つが、株式交換だ。キャッシュの流出がないという点にメリットがある株式交換だが、さらに法人税法では、一定の要件を満たす株式交換については、株主の譲渡益課税を繰り延べる措置を設けている。

 ところで、TOB(敵対的買収)の際、買収会社が被買収会社の株主に対し、被買収会社の株式を提供してもらう対価として、買収会社の株式を与えることがある。つまり、被買収会社の株式と、買収会社の株式を「交換」するわけだが、このような「株式と株式の交換」は、上記の譲渡益課税の繰り延べ措置の対象にはならないので注意したい。

 譲渡益課税の繰り延べの対象となるのは、あくまでも株主総会の特別決議を経て行われる「会社法上の株式交換」である。

 会社法上の株式交換は、まさに「会社の意思」により決定されるものであり、株主総会の特別決議で決議されてしまえば、個人の意思に関係なく(たとえその個人が株式交換に反対していたとしても)、株式交換が実行される。一方、「株式と株式の交換」の場合、それに応じるかどうかは、株主の個人的な意思次第となる。会社法上の「株式交換」と、「株式と株式の交換」は一見すると似ているが、実は別物だということを知っておこう。