ふるさと納税1兆円国民運動水泡に
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:10/17/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 ふるさと納税提唱者の一人である西川一誠福井県知事が、県議会9月議会定例会に提案していた補正予算案のなかの「ふるさと納税1兆円国民運動事業」案が10月6日、県議会予算決算特別委員会で削除され、同知事の思い入れの強い事業は水泡に帰すことになった。

 議会によって削除された事業予算額は約310万円。知事案では年々寄附額が増加するふるさと納税をさらに推進し、全国の寄附額を1兆円に増やす国民運動を進めるための優良サイト認証制度などを創設し、全国の自治体や事業者などと組んで、制度の発展協議会を発足させる計画だった。

 西川知事は定例会開会前の記者会見で、「昨年度は総額で開始以来の20倍の1650億円となったが、実際にこの制度を使っている個人住民税納税者は2%程度」であり、「全国の半分程度の人たちがこれを使っていただくと1兆円になる」とし、提唱県として「制度をさらに発展させるために国民運動を展開する」と意気込んでいた。

 だが特別委員会では、事業は国が実施すべきものだなどと予算案を素っ気なく袖にされた。西川知事はもともと総務省税務局(現自治税務局)で幹部職員だった地方税の専門家。法定外税の福井県核燃料税では、原子力施設が稼働していない期間にも課税できるように「出力割」を全国で初めて導入するなどの手腕を見せていたが、今回は思わぬ展開で足元をすくわれるかたちとなった。