有識者の7割超が消費増税に賛成意見を表明~点検会合
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:09/09/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 内閣府は6日、8月26日から31日の間に7回にわたって開かれた、消費税増税の影響を有識者・専門家から検証した「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」の概要報告を公表した。同集中点検会合では60名の有識者からヒアリングを行った結果、7割超の44名が予定通り消費税率引上げに賛成意見を表明、11名が見直し案を提示、3名が反対し、2名が賛否を明確にしなかった。

 賛成意見の理由としては、財政健全化が急務なこと、社会保障の充実とそのための財源を確保、将来世代への負担の先送りをやめて世代間格差の是正を図る、地方においても財源確保の必要性が高い、国際社会や市場からの信認の保持などが挙げられた。また、経済・金融の専門家からは、前回5%に引上げ時の1997年の景気後退の主因は消費税率引上げとは言えず、予定通り実施しない理由にはならないとの指摘があった。

 一方で、1割超の有識者からは、デフレ脱却を確実なものとするなどのため、予定を変更して毎年1%ずつ、5年間で合計5%引き上げる案や、引上げを1年先送る、デフレ脱却後まで先送るなどの変更が必要との意見があった。主な理由として、来年4月はデフレ脱却にとって重要なタイミングなので、デフレ脱却が確実になるまで先送る、あるいは引上げ幅を小さくして景気押下げ効果を小さくするのが望ましいとの指摘があった。

 こうした意見に対しては、デフレ脱却まで消費税率引上げを待つと金融・財政同時引締めのリスクが高いとの意見や、すでに民間企業や市場は引上げを織り込んでおり、予定変更が経済活動の混乱を招くこと、小刻みな引上げは、事務的に煩雑になり事務量の増大から実務上のコスト増が懸念されること、転嫁を円滑に行うことができないことを懸念する意見などが、中小企業団体の代表者など実業家を中心に出された。

 そのほか、消費税率を引き上げるとした場合の負担緩和策として、軽減税率の導入を求める声があったが、これに反対する意見も多かった。また、価格転嫁対策の重要性についての指摘があり、特に、消費税を除いた本体価格を表示する「外税方式」を選択できることが重要との意見があった。加えて、農業・漁業における生産コスト高騰対策等の支援、医療機関の消費税に関する負担問題の検討に関する意見があった。

 同会合の概要報告はこちら