法人成りブームが再燃、リスク検討も忘れずに
カテゴリ:01.法人税 トピック
作成日:06/19/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 アパート経営などで儲かっている個人が節税のために会社設立?? 法人税率引下げ論議が大詰めを迎える中、この古典的な節税手法がブーム再燃の兆しを見せている。「今年に入って法人成りの相談が増えた」と語るのは都内で開業する税務署出身の税理士。「アパートの大家さんが不動産管理会社を作るケースや、芸能人がマネジメント会社をつくるケースがとくに多い」(同)という。

 法人成りによる税メリットの筆頭は、所得税と法人税の税率の差だ。個人の所得税は累進課税で所得が増えるほど税率が高くなっていく。所得税の最高税率は現在1800万円超の部分に対して40%。来年以降は4千万円超の部分が45%になる。これに対し法人税は、基本税率が一律25.5%。中小企業は15~19%とさらに優遇される。

 必要経費の範囲も広がる。自宅兼事務所や車、生命保険、退職金などが経費として認められるほか、家族への給与も自由に支払うことができる。赤字の繰越しも個人は最大3年だが、法人なら最大9年。社会的な信用度アップや、それによる融資環境の改善なども考慮すると、法人成りのメリットは計り知れない。

 「ただし、個人にはない事務的な負担やランニングコストも発生してくるので注意が必要だ」(同)。

 例えば、会社設立時には登記費用がかかる。最低でも25万円。設立時の煩雑な手続きや法人税申告を司法書士や税理士に依頼するとその費用ものってくる。また法人は赤字でも住民税の均等割があり、最低でも7万円かかる。こうした負担を検討せずに、税メリットだけを追求して法人成りした人の多くが「こんなはずではなかった」と後悔しているという。法人成りに際しては、ランニングコストなども考慮して慎重に検討する必要がありそうだ。