還付狙いの「事業所得」に調査の目
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:10/24/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 インターネット取引、アフィリエイトなど、パソコン1台あればサラリーマンでも手軽に副収入を得られる時代だが、こうした中、税務署が給与所得者の副収入に強い関心を寄せている。

 見られているのは所得区分。サラリーマンの副業は一般的には雑所得だが、ある程度の規模になると事業所得としての申告ができる。雑所得と異なり、事業所得で赤字が発生した場合には給与所得など他の所得との損益通算が可能となる。こうした事業所得の“特典”を利用した還付狙いの申告が後を絶たないという。

 しかし、ある経済活動が所得税法上の事業所得を生む「事業」に該当するかどうかは、その経済活動が「独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して営まれる業務であって、社会通念上事業と認められるかどうかにより判断すべき」とされている。このため事業所得の申告をサラリーマンが行った場合、「税務署ではまず雑所得の可能性を検討する」(都内税務職員)という。とくにマークされるのは連年赤字のケース。継続的な収入や取引相手の明細の確認はもちろん、「事業用の名刺を作っているか、広告やチラシなどによる宣伝活動をしているかなどもチェックする」(同)という。

 このほか、事業用の電話回線の有無やコピー機等の設置、スタッフの雇用、住居とは別にマンションの一室など事業用のスペースを確保しているかなども判断材料になるというが、一番大事なのは「本人の意識」(同)。事業としての意識があれば、営利も追求するし、そのための戦略や準備などに時間を費やすもの。「たとえ赤字続きでも説得力がまったく違ってくる」(同)という。

 立証責任は納税者側にある。事業所得を狙うなら、それなりの証拠集めとともに、意識も整えておく必要がある。