租研調査、軽減税率の導入には約8割が否定的
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:10/14/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 日本租税研究会が会員を対象に7月に実施した「租税についての意見調査」結果(有効回答数924人)によると、消費税率の引上げの是非については、「現状維持」との回答は3.7%にすぎず、大部分の会員が消費税率の引上げを認めている。また、税率については、「10%」が21.7%と最多だが、10%を超えて引き上げることを容認する会員は半数を超え、4割近い会員が15%超を容認可能と答えており、消費税への期待は大きい。

 税率10%引上げ時に導入するとされている軽減税率制度については、「導入すべきではない」が57.1%にのぼり、「どちらかというと導入しないほうがよい」の22.8%を加えると、約8割の会員が軽減税率の導入には反対か消極的だった。導入に否定的な理由は、「事業者にとって事務負担が過重となる」、「対象品目の選定が極めて困難」、「税制の簡素性に反する」といった理由を答えた会員が多くみられた。

 税率の引上げによって、逆進性緩和、あるいは低所得層対策の必要性に関する議論が浮上しているが、消費税の逆進性対策の必要性については、「消費税率が10%以上の場合には、逆進性対策を行う必要」との回答が48.1%と最も多かった。消費者の選択に中立的であるためには税率は一定であることが望ましいとされるが、逆進性対策を税率引上げにともなう政治コストとみなし、現実的対応策としてとらえる会員が多い。

 逆進性対策として適当と思われる方法は、「給付付き税額控除を導入すべき」が35.4%、「簡素な給付措置を継続すべき」が27.5%、「社会保障政策などの歳出面から対応すべき」が23.3%であり、「生活必需品等に対しては、複数税率を導入すべき」は17.5%にすぎなかった。複数税率に関しては生活必需品の範囲、減収規模が大きいことなどの問題を抱えており、逆進性対策として支持する会員は少ない。

 同調査結果の詳細はこちら