富裕層の所得税申告漏れ調査開始以来過去最高
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:11/02/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 平成27事務年度の富裕層に対する所得税調査で、申告漏れ額が516億円と調査を開始した平成9年以降過去最高となったことが国税庁の調べで分かった。

 今年6月までの1年間に有価証券・不動産等の大口所有者や経常的な所得が特に高額な者(富裕層)へ実施した調査件数は4377件(対前年比0.4%増)で、このうちの3480件(同1.9%増)からの非違を把握。その申告漏れ所得金額は516億円(同32.3%増)と過去最高を記録し、120億円(同18.8%増)を追徴した。1件当たりの申告漏れ額は1179万円(同31.9%増)、追徴税額は273万円(同18.2%増)となり、追徴税額は特別・一般調査全体の平均額の約1.8倍だった。

 また、近年資産運用の国際化が進んでいることから国税当局では富裕層の海外投資等にも目を光らせており、同期間中にも海外投資を行っていた565件に対して調査を展開し、461件から168億円の申告漏れ所得金額を把握、43億円を追徴している。1件当たりの申告漏れ所得金額は2970万円と高額だ。

 国税庁では、平成26年から東京国税局等にプロジェクトチームを設けて富裕層の海外取引をはじめとする所得についての情報収集に力を入れており、今後はプロジェクトチームを全国に拡大する方針だ。