平成26年分から雑損控除の損失額の算定方法を見直し
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:10/08/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 平成26年度税制改正において、雑損控除に係る損失金額の算定方法が見直され、26年分以後の所得税から、損失を受けた資産が減価償却資産の場合には、「時価」と「簿価」の有利なほうを選択できることになった。雑損控除とは、災害や盗難などによって納税者本人や生計を一にする親族の資産に損害を受けた場合や、納税者本人が災害などに関連してやむを得ない支出をした場合には、その資産の損失や支出のうち、一定額を控除できるもの。

 26年度税制改正では、災害の直前の価額であるいわゆる時価を算出することが困難なケースがあることなどから、減価償却資産については、いわゆる簿価ベースでの損失金額の計算が選択できることになった。

 具体的には、これまで1)「その損失の生じたときの直前における資産の価額(いわゆる時価)」を基礎に計算することとされていたが、その資産が家屋等の使用または時間の経過により減価するもの、いわゆる減価償却資産の場合には、1)に加えて、2)「その損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得の金額の計算をしたときにその資産の取得費とされる金額(いわゆる簿価)に相当する金額」を基礎とする計算が選択可能になった。

 このように、雑損控除の資産の損失の金額については、その資産が減価償却資産である場合には、「いわゆる時価」または「いわゆる簿価」を基礎として計算することとされたが、国税庁が7月に公表した所得税基本通達等の一部改正では、この資産の損失の金額について、個々の資産ごとに計算できることを明らかにしている。

 つまり、災害等により資産に損失を受けた場合に、A資産は時価、B資産は簿価を基礎として、資産ごとに有利な計算方法を選択することができる。さらに、A資産とB資産が同一の種類の資産に区分される場合であっても、その資産の損失の金額は、その種類ごとではなく、個々の資産ごとに時価または簿価を基礎として計算できることも明らかにしている。