消費税の不適切還付に会計検査院が物申す
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:10/22/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の不適切な還付手法が問題視されている。会計検査院はこのほど、本来なら還付されない賃貸マンションやアパートの建設費にかかった消費税を、敷地内に自動販売機などを設置するなどの方法で還付させる手法が横行しているとして、財務省に然るべき対応を求めた。

 消費税は、売上げ時に預かった消費税から、仕入れ時に支払った消費税を控除した残額を納める仕組み。仕入れにかかった消費税の方が多ければその分が還付されるが、賃貸住宅の家賃は非課税であるため、建築費などの仕入れにかかった消費税は通常なら還付されない。

 そこで考案されたのが、仕入税額控除による還付を受けるために清涼飲料水などの自動販売機を賃貸住宅の敷地内に設置し、「少額の課税売上げを作る」という先の手法だ。

 仕入税額控除の計算上、売上げにかかった消費税から控除できる消費税は、課税売上げに対応する部分のみとされているが、課税売上割合が95%以上の場合は、その課税期間中の課税売上げに係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れに係る消費税額の全額が控除できる(95%ルール)。

 このため、たとえば賃貸住宅を建築して12月完成(引渡し)、翌年1月から賃貸開始(入居)とした場合、年内に敷地内に自動販売機を設置するなどして少額の課税売上げを作っておくことで、この「95%ルール」によって仕入れにかかった消費税の全額が控除できるようになり、本来なら受けられない還付が実現することになる。

 会計検査院のサンプル調査によると、同様の手口で消費税の還付を受けているケースは平成18年度分申告だけで126件、合計6億円超にのぼるという。こうした状況について会計検査院は「賃貸マンション等の取得に係る消費税額を仕入税額控除していない事業者や消費税額の調整を行っている事業者との間で公平性が著しく損なわれている」とし、財務省に対して、賃貸マンション等の取得に係る消費税額のうち非課税売上げである家賃収入に対応する部分の額が適切に納付されることとなるための措置を講ずるよう要請した。