焦点となるか消費税の地方税化
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:11/12/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 解散・総選挙の際に台風の目となりそうな「日本維新の会」。民主、自民・公明の対抗軸となる第三極を形成しようと政策の具体化に向けて動き始めている。その維新の会を率いる橋下徹大阪市長が10月30日、「維新八策」の柱のひとつである消費税の地方税化について私案を公表した。

 それによると、道州制を前提に、消費税率を11%に引き上げて全額を地方税とし、そのうち5%を自治体の独自税源に、残りの6%を地方の財政調整のための財源にするというものだ。国税5税の3割程度を原資とする現行の調整財源、地方交付税は廃止するという。

 具体的に見てみると、現在、国税の消費税収入は約10兆2000億円、地方消費税は2兆6500億円で、計12兆8500億円ほど。これが一本化されて自治体の独自税源になり、毎年赤字を埋めている臨時財政対策債の6兆円あまりも不要となる。また、残り6%の調整財源は15兆4200億円程度で、現行の普通地方交付税額16兆4000億円と遜色ない。概ね帳尻は合う。

 だが、私案は一般財源に組み込むものと想定され、これまで議論されてきた税率引上げと福祉の関係があいまいなこと、これまで国から地方消費税の配分を受けてきた自治体が税務組織の拡充を迫られるために徴収コストとの見合いなどが今後の課題になる。ただ、偏在性の少ない消費税の地方移譲に反対する自治体は少ない。総選挙を前に、地方を糾合するアドバルーンとしての意味はありそうだ。