財団法人への出捐金は金銭の贈与にあたり寄付金と裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/16/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 漁業協同組合が、ある財団法人に支出した出捐金が繰延資産に該当するか、寄付金に該当するか、その判断が争われていた審査請求事案で国税不服審判所は、基本財産とすることを指定して支出したものであるから寄付金に該当すると判断、審査請求を棄却した。
 この事案は、ある漁業協同組合が寄附行為を基に漁業の発展と漁業者の生活安定に寄与することを目的に設立した(財)漁業振興協会に800万円余の出捐金を拠出して仮勘定とした後、雑費用として経理するとともに、申告所得金額の計算の際の調整でこの出捐金を繰延資産として利益金額に加算する一方、償却期間を5年とする償却費の額を減損して申告したことが発端になったもの。これに対して原処分庁が寄付金と認定、更正処分してきたことから、その取消しを求めていたという事案だ。請求人は、出捐金の目的、効果さらに便益の寄与等は法人税基本通達8-1-11の同業者団体等の加入金と同じ性格のものであることから繰延資産に該当すると主張、原処分の取消しを求めていたわけだ。
 裁決は、出捐金が請求人の臨時総会の決議を経て任意に拠出されたものであることに加え、一定の公益目的のために提供された財産、つまり公益法人の基本財産とすることを指定して拠出され、基本財産に組み入れられている事実関係を認定。また、その基本財産は処分、担保に供することができない他、解散時に請求人に返還されない、財団法人の事業は基本財産以外の運用財産によって運営される、さらに出捐金の拠出によって財団法人から特別の利益を受けるとも認められない、と指摘した。結局、出捐金は財団法人に対する金銭の贈与、つまり寄付金にあたると判断、審査請求を棄却している。
(国税不服審判所、1999.12.22裁決)