ホステスへのペナルティは報酬の減額要素ではないと判示
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:12/26/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 ホステス報酬に対する源泉所得税の徴収をめぐって、その支払金額の計算期間はホステスの実際の出勤日数と集計期間の全日数のいずれで判定するのか、また課税対象金額は遅刻・欠勤等に係るペナルティを控除した後のものとなるのか否かの判断が争われた事件で、東京地裁(大門匡裁判長)は支払金額の計算期間は集計期間の日数ではなく実際の出勤日の日数によると指摘するとともに、ホステスに対するペナルティは契約違反の場合に定額で科される違約金にほかならないから、報酬算定の際の減額要素にはならないと判示した上で、原処分庁が行った源泉所得税に係る納税告知処分、不納付加算税の賦課決定処分は適法と判断して、パブクラブ経営者の原処分に対する取消請求を棄却した。

 この事件は、半月毎に支給額を計算してホステスに報酬を支払っていたパブクラブの経営者が、遅刻や欠勤に伴うペナルティ分と出勤日数に関わりなく基礎控除の5000円に半月の日数を乗じた額を控除した額から10%分の所得税額を源泉徴収して納付していたことに対して、ペナルティは控除しつつも、基礎控除分の5000円に係る控除はホステスの出勤日数に止まると判断、その差額分に対して納税告知処分、不納付加算税の賦課決定処分をしてきたため、パブクラブの経営者がその取消しを求めていたという事案だ。

 これに対して判決は、源泉徴収制度が予定している5000円分の基礎控除方式の趣旨を説明した上で、源泉所得税に係る支払金額の計算期間の日数は集計期間の日数ではなく、ホステスの実際の出勤日の日数で計算されると判示した上で、ペナルティについても報酬算定の際の減額要素ではなく契約違反の場合に定額で科される違約金であるのは明らかであると認定して、パブクラブの経営者が求めた原処分の取消請求を棄却している。

(2006.03.23東京地裁判決、平成17年(行ウ)第8号)