印紙税減税で税務調査が厳しくなる?
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:09/05/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 印紙税減税を受けて印紙税の調査が厳しくなりそうだ。

 平成25年度税制改正では、領収書等にかかる印紙税の非課税範囲が、現行の「記載金額3万円未満」から「5万円未満」に引き上げ(平成26年4月1日以降に作成される文書からの適用)、また、不動産譲渡契約書や建設工事請負契約書にかかる印紙税の軽減措置の延長および拡充も行われた。記載された契約金額が1千万円超の不動産譲渡契約書や建設工事請負契約書について軽減税率を適用するこの措置は、適用期限が今年3月までとされていたが、改正により平成30年3月31日まで延長。さらに同26年4月1日以降に作成される契約書については軽減措置が拡充されている。

 嬉しい改正が重なった印紙税だが、改正が行われた部分については税務調査でのチェックも厳しくなる傾向があるので注意が必要だ。

 調査官は、記載金額が3万円以上なのに収入印紙が貼っていない領収書を見つけると、それが正しい領収書であるかどうかを確認するため入念なチェックを開始する。白紙の領収書なら架空取引を疑い、記載金額の支払い方法や、払い出し口座などを確認。またボールペンの色が一部変わっていたり、異なる筆跡が混ざっていたりしたら、経費の水増しを疑う。数字の頭に1を付け足したり、1を4に書き換えるなどはよくある手口で、インクの色や筆跡、筆圧などのちょっとした違いから見抜くこともできるという。

 収入印紙も貼り付けてあり、必要事項も記載してある一見すると完璧な課税文書でも、収入印紙のデザインから課税もれが発覚するケースもある。収入印紙は不定期で微妙な図柄変更が行われているため、課税文書の作成年には発行されていない収入印紙が貼り付けてあると、調査を意識して後から貼ったものとみなされて過怠税の対象になることもあるという。

 印紙税を貼っていないことによるペナルティは納付しなかった税額の3倍。消印していない場合は、その収入印紙の額面と同額の過怠税が徴収されることになる。印紙税は会社の必要経費になるが、過怠税は必要経費にできない。印紙税の取扱いには十分な注意が必要だ。