固定資産課税台帳へのマイナンバー活用等を提言
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:05/30/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 総務省の関連団体である一般財団法人自治総合センターが設置する「地方分権時代にふさわしい地方税制のあり方に関する調査研究会」(委員長/持田信樹東大教授)は、地方税の徴収対策をテーマに、その電子化やマイナンバーの税務行政への活用に関する検討結果をとりまとめて報告した。

 報告書はまず、ICTの急速な進展に伴うeLTAX(地方税ポータルシステム)を通じた電子申告の普及に注目、その一層の利用率向上が重要だと指摘した。一方、課題としてセキュリティ対策に万全を期すことや、現在は自治体ごとに構築している税務システムの共同利用などが必要だと強調した。

 そのうえで、マイナポータルが本格運用される段階では、個々の納税者に税額通知書を電子的に送付することやインターネットバンキングやクレジット納税の普及に期待が高まるとしたうえで、現在の個人住民税では特別徴収義務者が従業員の住む市町村ごとに行っている納入手続きを、いったんeLTAXを通じて地方税の収納機関に一括納入し、電子データで関係市町村に配分するしくみにすれば、特別徴収義務者・市町村ともに大きく事務コストの軽減が図られる可能性を示唆した。

 さらに、マイナンバーを活用した税務行政の今後については、所得情報だけでなく、固定資産課税台帳への付番も課題になると指摘。固定資産税の土地・家屋分は市町村による賦課課税のため、現状では納税者から番号記載の申告を受ける機会がないが、相続や財産調査といった際に有用なことや、現在は一元管理されていない資産情報がマイナンバーをキーに名寄せできれば、市町村間の照会・回答がスムースに進むとしている。また、同台帳への番号記載は課税・徴収の利便性だけでなく、納税者にとっても災害時の罹災証明書の早期発行といったメリットがあることも示している。