経団連、配偶者手当て「廃止」を呼びかけ
カテゴリ:02.所得税, 15.税制改正 トピック
作成日:11/24/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 経団連は、来年の春闘で配偶者手当の廃止や削減を会員企業に呼びかける方針だ。配偶者手当は、年収が103万円を超えると支給されない企業が多く、所得税の配偶者控除と同様、パート主婦が労働時間を抑える「103万円の壁」の一因になっている。

 政府与党は現在、女性の就労を後押しするため、平成29年度税制改正で配偶者控除の「103万円の壁」を引き上げる検討を進めているところ。また政府税制調査会がこのほどまとめた所得税改革についての中間報告では、企業における配偶者手当の支給基準に「103万円」が援用されていることも就業調整の一因になっていると指摘し、こうした手当制度のある企業に対し抜本的な見直しを強く求めている。

 経団連はこうした動きに足並みを揃え、配偶者手当の「103万円の壁」の見直しを企業に要請。見直しにより浮いた原資は、子ども手当などに振り向けるように呼びかける方針だ。来春闘で経営側の指針となる経団連の「経営労働政策特別委員会報告」に盛り込まれる見通し。

 ただ、配偶者手当の廃止・削減に伴う給与体系の見直しに当たっては労使交渉が難航する可能性もある。国税の配偶者控除の引上げ論議と合わせ、配偶者手当の存廃の行方にも強い関心が寄せられている。

 なお、経団連は今年9月にまとめた平成29年度税制改正に向けた提言で、個人所得課税の見直しへの対応として、「女性の活躍推進の観点から働き方に対して中立的な税制を構築すべき」とし、若年層・子育て世代の活力維持や女性の活躍推進への配慮を呼びかけている。