固定資産税の償却資産の見直しが焦点に
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:10/07/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 消費増税に対応した税制措置として与党が打ち出した法人税率の引下げ。政府の成長戦略を支える企業の投資促進をねらいとするものだが、その文脈に沿って年末にもうひとつの焦点になるのが固定資産税の償却資産の見直しだ。

 経済産業省は、東日本大震災と急激な円高を契機に産業空洞化と雇用喪失の懸念が高まっており企業立地の環境改善が急務だと主張。そのため、法人税率の引下げだけでなく、償却資産に係る固定資産税の見直しを行うことで新規設備投資を促すべきだとする税制改正要望を提出している。
 
 具体的には、機械および装置について新規設備投資分を非課税とすること、長期保有分の評価額の最低限度(5%部分)を段階的に廃止することを求めている(総務大臣が指定する電力・ガス・鉄道・電気通信分野の償却資産を除く)。

 同省が非課税や廃止の根拠として挙げているのが、国際競争力の強化。海外には事業用資産に対する同様の税制は稀で、国内企業は採算性から不利になっており、産業と雇用を守るためにも見直しは必須との主張だ。

 黙っていないのが年間税収約1.6兆円を失いかねない地方側。9月27日、全国知事会は「消費税率引上げに係る経済対策に関する要望・提案」のなかで、償却資産に係る固定資産税は、償却資産の保有と市町村の行政サービスの関係で定着していると反発。貴重な自主財源を奪うべきではないとクギをさした。

 法人税は地方交付税の原資のひとつであり、自動車取得税廃止の代替財源も決まっていないなかで、償却資産税をめぐる新たな国・地方間の税源争いが浮上したかたちになっている。