ふるさと納税制度が拡充へ
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:08/25/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 自分が住んでいる住所地以外の地方自治体に税を寄附(納税)して特産品を受け取り、しかも確定申告すれば、所得税や住民税の税額控除を受けられる「ふるさと納税」。年々、人気が高まるなか、総務省は税制改正で制度を拡充する方針を固めた。

 政府は地方活性化に本腰を入れるため、新たに「まち・ひと・しごと創生対策本部」を設置、ふるさと納税もその起爆剤のひとつにしたい考えだ。ふるさと納税は、寄附金のうち2000円を超える部分について一定の上限まで原則として所得税、個人住民税から全額が控除されるしくみ。住民税の控除の上限は所得割額の1割。総務省はこの控除制度を簡易化することや限度額を2割に引き上げる方向で検討している。

 ただし、制度創設の趣旨からは首を傾げる向きも多い。本来、少子高齢化で税収低下に苦しむふるさとや応援したい自治体に寄附することで、自治体財政に貢献することが想定されていた。だが、寄附を受けた自治体が御礼として地元特産品を贈答することが一般化。高級和牛や海産物などがもらえ、しかも税額控除されるとあって、人気に火が付いた。

 総務省によると、2009年度にふるさと納税した人は3万3149人、寄附金総額は72億5995万円で控除額は18億9166万円だったが、2013年度には納税者10万6446人、寄附金総額130億1127万円、控除額は45億2632万円にのぼっている。

 その性質を「町内会費」とも形容される住民税がこうしたかたちで都市部から流出することに疑問の声が出たり、今回の制度拡充も来年の統一地選向け政策との批判も聞こえ始めている。寄附金(税)に事実上の“見返り”がある制度の妥当性をめぐる議論はしばらく続きそうだ。