設備投資税制の駆込み適用に注意!
カテゴリ:01.法人税 トピック
作成日:06/23/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 「生産性向上設備投資促進税制」の廃止まで1年を切り、適用を急ぐ動きが加速している。

 同制度は、特定の生産性向上設備等を取得し、事業の用に供した場合に、最大50%の特別償却または最大4%の税額控除が認められるもの。「生産性向上設備」として一定の要件をクリアした機械装置や工具、器具備品、建物、構築物、ソフトウェアなどが対象で、業種や企業規模に制限はなく、青色申告法人(個人)であれば適用可能という門戸の広さで人気がある。

 アベノミクス3本目の矢である「成長戦略」を税制面から支える施策の目玉として登場し、当初は「即時償却または最大5%の税額控除」という大盤振舞いだったが、平成28年4月から現行の規模に縮小され、「課税ベース拡大」を理由に29年3月末をもって廃止が確定している。

 廃止まで1年を切り、駆込み適用を検討する動きも出てきているが、適用に際して必要な手続きに時間がかかるケースがあるので注意が必要だ。例えば「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」として構築物を取得し同制度を適用する場合、経済産業省の確認書が必要になる。投資計画や事前確認書を経済産業局に申請を出してから、確認書の発行までにかかる時間は約1ヵ月。中には数ヵ月かかるケースもあるとのことで、早めの対応が必要だ。

 また、同制度を適用できるのは来年3月末までに取得等をして事業の用に供したものとされているが、ここでいう「事業の用に供した日」にも注意が必要。例えば、機械等を購入した場合、その機械を工場内に搬入しただけでは「事業の用に供した」とはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日か?「事業の用に供した日」となる。購入しただけで安心してはいけない。

 なお、中小企業の場合、中小企業投資促進税制の上乗せ措置という手もまだ残っている。同制度は、機械装置等の対象設備を取得等した場合に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除が選択適用できるもの。生産性の向上に資する設備を取得等した場合には即時償却または10%税額控除になるという上乗せ措置が設けられている。

 同制度も来年3月末までで、適用対象設備の範囲は狭いが、機械装置については1台160万円以上、ソフトウェアは70万円以上であれば今年4月以降であっても即時償却の対象になる。