借入金で支払った医療費も医療費控除の対象に
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:12/08/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 来年の確定申告に向けて、還付申告ではなじみ深い医療費控除のために今年分の資料をまとめる時期となったが、国税庁はこのほど更新した、ホームページ上に掲載している「質疑応答事例」では、所得税を5項目新たに掲載したなかに、医療費控除関係が3項目ある。

 新たに掲載された3項目は、
1)借入金で支払った医療費、
2)姉の子供の医療費を支払った場合、
3)父親の控除対象者である母親の医療費を子供が負担した場合
の3つ。医療費控除は、周知のように、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされているから、2)、3)ともに、生計を一にしているのであれば、医療費控除の対象となることになる。

 それでは、借入金で支払った医療費は対象となるのだろうか。医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払った金額に限られており、未払となっている医療費は現実に支払われるまでは、医療費控除の対象とはならない。したがって、借入金により医療費を支払った場合であっても、医療費が未払となっているのではなく、医療費の支払は現実に行われているので、その支払の日を含む年分の医療費控除の対象となることになる。

 ところで、平成28年度税制改正においては、「市販薬控除」が導入される可能性が強くなってきた。これは、現行の医療費控除との選択適用で、市販薬を年間1万2千円以上購入した世帯について、総額から1万円を引いた金額を最大10万円まで所得控除の対象にするという制度だ。

 控除対象となる「市販薬」の範囲については、薬局やドラッグストアで処方箋なしで購入できる薬品で、医療用医薬品(処方薬)を市販薬に転用した「スイッチ大衆薬」が軸になる見込みだが、現行の所得税法上で医療費控除の対象となる市販薬の取扱いとどのような違いがあるのか注目されるところだ。