見直される消費税の「みなし仕入率」
カテゴリ:03.消費税, 15.税制改正 トピック
作成日:01/17/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 平成26年度税制改正大綱では、消費税の簡易課税制度の「みなし仕入率」を、1)金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%(現行60%)に、2)不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%(現行50%)とし、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用することが明記された。

 みなし仕入率は、実際の仕入率を計算するのが困難な中小企業の事務負担に配慮して設けられた制度だが、現実には、実際の仕入率を計算できるにもかかわらず、本則課税の場合と納税額を比べ、損得により簡易課税の適用を判断している事業者が多いと指摘されていた。

 簡易課税適用者に対する財務省の業種別課税仕入率の実態調査(平成20年度分)により、業種によっては、みなし仕入率が実際の仕入率を大幅に上回っていることが確認されたことから、24年8月に成立した消費税増税法では、消費税率の引上げに伴う検討事項の一つとして、「消費税の簡易課税制度の仕入れに係る概算的な控除については、今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、その水準について必要な見直しを行う」と、みなし仕入率の見直しが挙げられていた。

 実態調査は、全国の税務署から抽出した法人・個人計約33万社(者)に対して行われた。適用者が、みなし仕入率で申告しており実際の仕入率を把握できないため、平成20年度分(個人は20年分)の決算書等から課税仕入率を推計。その結果、業種別の実際の仕入率が、第4種(みなし仕入率60%)の金融保険業で33.8%、第5種(みなし仕入率50%)の不動産業(不動産賃貸、管理及び仲介業で不動産売買業を除く)で32%と、みなし仕入率に対して大幅にかけ離れていることがわかったため、両業種のみなし仕入率の見直しが想定されていた。