教育資金贈与特例、相続開始3年以内にも有効
カテゴリ:05.相続・贈与税, 15.税制改正 トピック
作成日:03/14/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 平成25年度税制改正では、子や孫への教育資金の贈与に1500万円という大型の非課税枠(教育資金の一括贈与の特例)が新設される予定。教育関係機関や富裕層を中心に制度の詳細への関心が高まっているが、同特例については相続時精算課税制度との併用が可能で、相続開始前3年以内の贈与についても適用できることが明らかになっている。

 教育資金の一括贈与の特例は、直系尊属から30歳未満の孫等へ教育資金を贈与する場合に、受贈者1人につき1500万円まで非課税にする制度。信託銀行等の金融機関に受贈者名義の口座を開いて教育資金を信託した場合に適用となり、受贈者やその親は教育資金が必要な時に必要な分だけ引き出せる。高齢者のタンス預金を引き出して経済活性化に繋げるのが狙いだ。

 一方、相続時精算課税は、生前贈与時に2500万円の特別控除と軽減税率(一律20%)が適用でき、相続発生時には生前贈与財産と相続財産を合わせて計算した相続税額から、生前贈与時に納めた贈与税額を控除して精算する仕組み。65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与が対象だが、今回の改正では贈与者の年齢要件が「60歳以上」に引き下げられ、受贈者の範囲に「20歳以上の孫」が加わる。

 特別控除枠は贈与者ごとに使えるため、子どもは両親それぞれから2500万円ずつ、また改正後は両親それぞれの祖父母からも2500万円ずつ、最大で合計1億5千万円分の生前贈与を特別控除枠内で受けられることになる。ここに教育資金の一括贈与の特例の非課税枠が加われば、贈与時点で最大1億6500万円の非課税枠が生まれる計算になる。

 また現行では、相続が発生しそうになって慌てて贈与しても、相続開始前3年以内であれば相続財産に取り込まれてしまうが、教育資金の一括贈与の特例は、「相続開始前3年以内の贈与でも相続財産には含まない」(財務省主税局)。

 教育資金の一括贈与の特例平成25年4月から同27年末までの時限措置。相続時精算課税の改正は同27年1月1日以後の贈与からの適用となる。