配偶者控除、「“壁”引上げ」へ方向転換
カテゴリ:02.所得税, 15.税制改正 トピック
作成日:10/13/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 女性の就労を抑制しているとの指摘がある配偶者控除の見直しは、「小幅」に止まりそうだ。

 政府・与党は配偶者控除について、働き方にかかわらず対象にする「夫婦控除」への衣替えを検討してきたが、平成29年度税制改正ではいったん見送り、現在「103万円」とされている年収制限を引き上げるなど小幅の見直しに方向転換する見込み。中間層の税負担増や、来年の東京都議選挙への影響などが懸念されることから、党内で慎重論が根強いためだ。

 配偶者控除は、年収103万円以下(給与収入)の配偶者がいる場合に、年間38万円の所得控除が受けられる制度。夫がサラリーマン、妻がパートで働く世帯などでは、夫の所得軽減の恩恵をキープするために、妻が年収103万円を超えないよう勤務時間を抑制する傾向が指摘されており、「103万円の壁」とも言われている。

 配偶者控除の見直しは、安倍政権が掲げる「働き方改革」の具体策のひとつ。このため平成29年度税制改正では、まずはこの「壁」を引き上げ、配偶者控除の存廃については数年かけて存廃を検討する方向だ。壁の引上げについては「150万円以下」という案が出ている。