今年1月以降の公社債等の売却は原則申告分離課税
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:01/27/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 公社債等(国債、社債、公社債投資信託など)に係る課税関係が本年1月1日以降、大きく変わってきているので注意が必要だ。昨年までは非課税だった公社債等を売却した際の売却益は、今年から原則として申告分離課税となる。公社債等から得られる収入には、預貯金のように定期的に支払われる利子収入や売却による収入、償還による収入があるが、昨年までの制度ではその種類によって課税の有無や、課税方式が異なっていた。

 平成28年1月1日以後に特定公社債、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託の受益権及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募により行われたものに限る)の社債的受益権(以下「特定公社債等」)の譲渡をした場合、その特定公社債等の譲渡による譲渡所得等については、上場株式等の売却益の場合と同様に20.315%(復興特別所得税、住民税含む)の税率による申告分離課税の対象とされた。

 また、特定公社債等の償還や一部解約等により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額については、これを特定公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、20.315%(復興特別所得税、住民税含む)の税率による申告分離課税の対象とされた。「特定公社債」とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、2015年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいう。

 特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募以外の方法により行われたものに限る)の社債的受益権(以下「一般公社債等」)の譲渡をした場合も同様の取扱いとなる。つまり、これらについて平成28年1月1日以降は、原則として申告分離課税方式での課税に一本化されている。

 また、上場株式等に係る譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象に、特定公社債等の利子所得、配当所得及び譲渡所得等が追加され、これらの所得間並びに上場株式等の配当所得及び譲渡所得等との損益通算が可能になった。公社債等を売却した際に売却損が出た場合には、昨年までの制度では上場株式等の売却損益や配当所得との損益通算ができなかったが、2016年以降は相互に損益通算ができるようになっている。

 さらに、売却損を控除しきれなかった場合には、確定申告をすることによって、その損失を翌年以降3年間繰り越して控除することができるようになった。そのほか、平成28年1月1日以降は特定口座(源泉徴収あり又はなし)での管理もできるようになり、特定口座を利用することによって確定申告を省略することも可能になっている。