コンプライアンス違反企業倒産、「税金関連」が増加
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:04/15/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 2012年度(12年4月~13年3月)に法令違反や粉飾決算、談合、偽装などのコンプライアンス違反が一因となった企業倒産は141件だったことが、東京商工リサーチがこのほど発表した「コンプライアンス違反企業の倒産に関する調査」で分かった。件数は前年度(170件)より29件(17.0%)減少したが、違反内容別では脱税や滞納など「税金関連」が前年度を上回り、中小企業の苦しい経営の一面を浮き彫りにした。

 コンプライアンス違反倒産企業141件の負債総額は2063億3800万円、前年度比40.8%減と大幅減少。このうち、負債10億円以上の大型倒産は29件(前年度37件)にとどまった。主な倒産事例には、約10年にわたり税務申告書とは別に、取引金融機関別に粉飾した財務諸表を作成してきたワシ興産(株)(福井・負債404億円)と関連会社のワシマイヤー(株)(福井・同200億9700万円)などがある。

 141件を産業別にみると、「サービス業他」が44件(構成比31.2%)で最多、次いで「建設業」25件、「卸売業」18件、「製造業」15件、「情報通信業」11件、「小売業」10件、「運輸業」9件などの順。サービス業他では、ホテル、旅館などの「宿泊業」7件、「ソフトウェア業」6件などが多い。宿泊業では、業績低迷が続いていたところ、東日本大震災に伴う消費自粛が加わり、売上不振から税金を滞納するケースがみられた。

 また、違反内容別では、脱税や滞納などの「税金関連」が46件(前年度42件)と増加。不正な会計処理を行い虚偽の決算報告の作成などの「粉飾」も13件(同29件)あった。このほか、「談合」が5件(同8件)、「詐欺・横領」が4件(同13件)などだった。なお、「その他」の52件には、建設業法や医師法など業法違反、金融商品取引法や食品衛生法違反などの法令違反、贈収賄、不法投棄などが含まれている。

 最近は、企業の社会的責任が以前にも増して重視されているが、こうした環境のなかでも「コンプライアンス違反」企業は後を絶たない。粉飾決算に象徴される経営内容の不正報告や、脱税・税金滞納、不正受給などは業績不振の企業に多く、実態経済の“鏡”の側面もある。2012年度の「コンプライアンス違反」の倒産は前年度を下回ったが、この背景にはコンプライアンス意識の浸透も効果があったとみられている。

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