国税庁、「外国人の消費税」で秘策
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:01/10/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 「外国人の消費税」に国税庁が頭を抱えている。外国人のプロスポーツ選手やタレントなど、短期間の日本滞在で大きく稼ぐ外国人から消費税を取りっぱぐれているためだ。外国人でも、日本国内で稼いだ報酬や賞金には日本の消費税がかかる。居住者か非居住者かといった判断は一切不要。基準期間(前々年)の課税売上が1千万円以上あれば課税対象となる。

 しかし、短期滞在型の外国人が消費税を適正に申告納税するケースは非常に少ないという。所得税の場合は、賞金や報酬の支払者が源泉徴収義務者となり本人に代わって国に納めることで課税関係が終了するが、消費税にはこうした源泉徴収制度がない。このため外国人は自分で申告・納税する必要があるのだが、日本の税務についての認識不足から申告せずに帰国してしまうケースがほとんどだという。

 当然、国税当局では大いに問題視しているが、「国内に事務所もなく短期間の滞在であるなどの特殊性から、その申告水準を含め全容を把握することは困難」、「外国人の申告義務を、国内で役務提供を行っている時点ですべからく把握することは不可能」(国税調査官)というのが現状で、短期滞在の外国人から消費税を確実に取るのはなかなか難しいようだ。

 そこで国税庁では、取りっぱぐれ防止に向けてある方法を考えついた。それは外国人事業者に報酬等を支払った国内の事業者に納税義務を課すというもの。仕入税額控除の適用条件として納税義務を課すことで、外国人事業者の無申告の発生を防止するという考えだ。つまり、本来なら外国人事業者が納めるべき消費税を、国内事業者が代わりに納めるということ。さらに、「二重課税を防止する観点から、非居住者から役務提供を受けた国内の事業者は、非居住者に対してその役務提供については自身が納税義務を負うことを通知することとし、非居住者にその役務提供については納税義務を課さないこととする」(国税庁)。

 これは、平成25年度税制改正に向けた独自の「意見」として国税庁が示しているもの。採用されるかどうかは未知数だが、少なくとも外国人の消費税に国税庁がかなり頭を痛めていることは間違いなさそうだ。