熊本地震での寄附金控除はワンストップ特例に注意!
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:06/29/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 熊本県では、平成28年熊本地震により被害を受けた被災者を支援するため、28年4月15日から義援金を募集している。義援金の募集については、28年6月30日までとしていたが、被害が甚大で被災地の復旧・復興には期間を要し、今なお不便な生活を強いられている被災者が多数いることや義援金の申出が途切れなくあるなどの現状を踏まえ、29年3月31日まで募集期間を延長している。

 個人が、熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となる。また、個人が、認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対する寄附をした場合には、上記の寄附金控除に代えて、寄附金特別控除(税額控除)の適用が受けられる。いずれの場合も、確定申告によりそれぞれ一定額の所得控除や税額控除を受けることができる。

 ただし、これらの寄附とは別に、ふるさと納税を行っている場合には、注意が必要となる。本年4月1日から「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が始まり、一定の要件に該当すれば確定申告が不要となっている。特例の適用要件は、1)ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であること、2)ふるさと納税の寄附金控除を受ける目的以外で確定申告書の提出を要しない者であることの2つで、要件のいずれにも該当する必要がある。

 ここで注意を要するのは「ふるさと納税の寄附金控除を受ける目的以外での確定申告書の提出」である。もちろんふるさと納税以外の寄附金控除も含まれる。つまり、上記のように、熊本地震の被災地等に寄附を行うなどして、確定申告によって寄附金控除を受ける場合には、ワンストップ特例の要件を満たさないため、ふるさと納税に係る寄附金控除についても確定申告をする必要が出てくるわけだ。

 この目的以外の確定申告書の提出には、寄附金控除のほか、例えば医療費控除や適用初年度の住宅ローン控除などが該当することから、これらの適用を受ける場合にも、ワンストップ特例の適用はないものとして、全て確定申告により控除を受けることになる。