最高裁も宗教法人が行うペット葬祭業を収益事業と判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:09/30/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 宗教法人が行う死亡したペットの葬儀、供養等の事業が、法人税法上の収益事業に当たるか否かの判断が争われてきた事件で、最高裁(津野修裁判長)は金員の支払いは喜捨等の性格を有しておらず、宗教法人以外の法人が行う同種の事業と基本的には異ならないから、請負業等の形態を有する収益事業に当たると判断、上告棄却の形で事件は確定した。

 この事案は、宗教法人が行うペット葬祭業に対して原処分庁が収益事業と認定、法人税の決定処分、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、宗教法人がその取消しを求めて提訴していた事案だが、一審・二審とも宗教法人側の主張を一蹴したことから、さらに宗教法人が上告してその取消しを求めていたという事案だ。

 最高裁は事実関係を把握した上で、ペット葬祭において宗教法人が提供する役務等に対して一定の金額が定められ、依頼者がその金額を支払っていると認められるから、その金員の移転は宗教法人が提供する役務等の対価の支払いとして行われる性質のものであると認定するとともに、依頼者が宗教行為としての意味を感じて金員の支払いをしていたとしても、いわゆる喜捨等の性格を有することはできないと指摘した。

 また、ペット葬祭業の目的、内容、料金等の決め方、さらに周知方法等からも、宗教法人以外の法人によって一般的に行われる同種の事業と基本的に異なるものではなく、これらの事業と競合するものと言わざるを得ないとも指摘。これらの事情を踏まえれば、ペット供養のために宗教上の儀式の形式によって葬祭を行っていることを考慮しても、法人税法上の収益事業に当たると解釈して、宗教法人側の上告を棄却した。

(2008.09.12 最高裁第二小法廷判決、平成18年(行ヒ)第177号)