東商、19年10月の消費税10%への確実な引上げを要望
カテゴリ:03.消費税, 16.その他 トピック
作成日:07/20/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 東京商工会議所は14日、国の中小企業対策に関する重点要望を発表した中で、消費税引上げ延期を受けての課題として、1)2019年10月の消費税10%への引上げの確実な実施、2)今般の消費税引上げ延期を受け、軽減税率制度の導入は再検討すべきこと、3)適格請求書等保存方式(インボイス制度)は、十分な期間を設け、廃止を含め、慎重に検討すべきことを要望した。

 消費税の10%への引上げについて、東商はかねてから、社会保障制度の持続のために必要と主張してきたが、わが国が「人口減少と超高齢化の加速」という構造的課題に直面する中で、少子化対策の実行のためにも、消費税の引上げは必要であることから、社会保障給付の一層の重点化・効率化を徹底するとともに、2019年10月の税率引上げが確実に実施できるように、経済環境の整備を進めていくことが重要との考えを示している。

 軽減税率制度の導入については、社会保障財源を毀損することや、中小企業に過度な負担を強いることから、単一税率を維持すべきと主張してきたが、消費税率引上げ延期を受け、再検討を要望した。また、インボイス制度については、飲食料品を取り扱う事業者だけでなく、全ての事業者に経理・納税方法の変更を強いるものであり、広範囲に影響を及ぼすとともに、500万を超える免税事業者が取引から排除されるおそれがあると指摘。

 消費税の軽減税率制度の導入後3年以内を目途に、事業者の準備状況や事業者の取引への影響の可能性等を検証することが法律で規定されていることから、インボイス制度は、軽減税率制度導入後、十分な期間での慎重な検討を求めた。その際、まずは、消費税10%引上げ後、インボイス制度導入前に、免税事業者の課税選択の動向、価格転嫁、取引排除等の実態を徹底的に調査・検証し、廃止を含め、必要な措置を検討すべきとしている。

 そのほか、事業承継税制の抜本的な見直しを求め、取引相場のない株式の評価方法について、分散した株式の集中化を図るための株式評価額の逓減、円滑な事業承継が実現するための適切な評価方法への見直しや、事業承継税制では、贈与税の納税猶予制度の発行済議決権株式の「2/3要件」、相続税の納税猶予制度の「80%要件」が円滑な事業承継を阻害しているとして、早急にそれぞれ100%へ引き上げることを要望している。

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