25年度改正は平年度で1520億円の減収見込み
カテゴリ:15.税制改正 トピック
作成日:02/06/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 政府は1月29日、平成25年度の税制改正の大綱を決議したが、そのなかで税収(内国税)に与える影響については、初年度で2360億円、平年度ベースでは1520億円の減収になるとの見込みが明らかになった。平年度は、相続税の基礎控除の見直しや所得税の最高税率の見直しなどに係る増収要因があるものの、生産等設備投資促進税制の創設や所得拡大促進税制の創設などの減税見込額が上回ったことが主因となっている。

 初年度は、生産等設備への投資額を一定以上増加させた場合に、新たに取得等した機械・装置について特別償却・税額控除を可能とする生産等設備投資促進税制の創設が1000億円の減収や、労働分配(給与等支給)を増加させた場合、その増加額の一定割合の税額控除を可能とする所得拡大促進税制の創設が630億円の減収のほか、研究開発税制の拡充が450億円の減収など、法人課税の改正による減収見込額が2400億円にのぼった。

 平年度は、平成27年より、相続税の基礎控除を「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げることで2570億円の増収、相続税の最高税率を55%に引き上げるなど税率構造の見直しで210億円の増収、27年より、現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4000万円超について45%の税率を設ける所得税の最高税率の見直しで590億円の増収などを見込んでいる。

 しかし一方で、生産等設備投資促進税制の創設(1050億円の減収)や所得拡大促進税制の創設(1050億円の減収)、研究開発税制の拡充(580億円の減収)、800万円までの交際費支出の全額損金算入を認める交際費等損金不算入制度の見直し(350億円の減収)など、法人課税の減収は計3320億円を見込む。このほか、個人所得課税でも、平成26年から住宅ローン減税の最大控除額を400万円に拡充(570億円の減収)などの減収要因がある。

 この結果、税制改正完全実施後の平年度ベースでは、減収見込額が増収見込額を上回り、1520億円の減収となる見込みだ。

 なお、地方税については、初年度は65億円の減収にとどまるものの、平年度は、個人住民税における住宅ローン拡充が418億円の減収や、国税の税制改正に伴い保人住民税・法人事業税などの減収計592億円などがあることから、合計では1173億円の減収が見込まれている。