小規模宅地特例に落とし穴
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:01/16/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 近年ニーズの多い二世帯住宅に小規模宅地特例を適用した場合の「落とし穴」に関心が寄せられている。小規模宅地特例とは、被相続人が住んでいた自宅の敷地を配偶者や同居の子どもが相続する場合、一定要件のもとで相続税評価を80%評価減する制度。ここでいう「同居」の要件については、二世帯住宅等に対応しておらず使い勝手が悪かったが、平成25年度税制改正で大幅に見直され、今年1月に再スタートを切った。

 従来は内階段や内廊下でつながっているなど二世帯を自由に行き来できる構造でなければ「同居」とはみなされず土地全体への適用はなかったが、改正により二世帯住宅でありさえすれば「同居」とみなされることに。これにより1階世帯と2階世帯が外階段のみでつながっているような完全分離型の二世帯住宅でもその敷地全体が小規模宅地特例の対象になった。土地全体を特例対象とするには共有登記が要件になる。

 いま一部で関心が寄せられているのが、将来この特例を適用することを意識して二世帯住宅を共有登記とした場合の、他の優遇税制への影響だ。

 住宅を取得すると不動産取得税や固定資産税、都市計画税などの税金がかかってくるが、それぞれに優遇措置が設けられている。例えば不動産取得税は240平方メートル以下の課税標準額について1200万円を控除。固定資産税は土地200平方メートル以下の部分の評価額が6分の1、200平方メートル超の部分が3分の1に減額される。これらの特例は1戸ごとに受けられるため、完全分離型の二世帯住宅の場合、親世帯、子世帯がそれぞれ適用できることになる。面積要件が事実上2倍になるため節税面で非常にオイシイ。

 このように、不動産取得税や固定資産税などの税の特例を確実にダブルで受けることができるように区分登記を選択するケースは少なくないというが、その場合、将来相続が発生した際に小規模宅地特例の範囲が限定的になってしまうというリスクがある。住宅については税負担も大きいため、特例の適用要件や税効果を十分に検討した上で構造や登記の仕方を決める必要がありそうだ。