相続税無申告調査事案1件当たりの申告漏れ課税価格1億超え
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:11/19/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 国税当局では、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、無申告者の把握については、資料情報の収集・活用などを積極的に行い、的確な課税処理に努め是正している一方、税目のうち相続税については“たぶん税務署には把握されないだろう”などと安易に無申告とする相続人が少なくないことから、目を光らせている。

 今年6月までの1年間における相続税における無申告事案の実地調査件数は868件(前事務年度881件)で、このうちの76.2%に当たる661件(同650件)から876億円(同788億円)の申告漏れ課税価格を把握した。実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格は1億88万円(同8945万円)と1億円を超えるとともに、追徴税額も834万円(同522万円)と大幅に増えている。

 不正事例を挙げると、相続人Aは、被相続人の遺産が相続税の基礎控除を超えて申告が必要となることから、被相続人が亡くなる前日及び当日に被相続人の預金口座から約2億9千万円の現金を引き出してAの口座に入金するほか、別の相続人の配偶者の住宅ローンを返済し、遺産が相続税の基礎控除以下であるように装い相続税の申告を行っていなかったことから、加算税を含め約6400万円を追徴している。

 またAは、被相続人の口座から出勤する際に銀行員から預金を移動しても相続税はかかるとの話を聞いたにもかかわらず、「お金を移せば税務署にばれない」と話すとともに、相続開始後に税務署で相続税の相談を行っていたなど、かなり悪質だった。