住宅用地特例適用除外で進むか特定空き家処分
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:08/17/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 空き家対策特別措置法の成立で、これまで放置されてきた特定空き家の解消が期待されている。特定空き家とは、管理されず放置すれば倒壊等で著しく危険か、衛生上有害で、景観を損なっている等の状態の空き家のこと。人口減少や過疎化の影響で問題が指摘されるようになったが、その数は全国で800万戸にものぼるという。

 特措法はこうした特定空き家の解消を目的に、市町村による強制執行(解体処分)を可能にするとともに、固定資産税の住宅用地特例の対象から外すことで所有者の自主的な改善努力を促そうとしている。強制執行の場合、市町村は所有者に解体費用を請求できるうえ、これまで地方税法上、住宅用地は200平方メートルまでの部分は固定資産税・都市計画税の課税標準額が6分の1、200平方メートルを超える部分は3分の1と優遇されてきたが、特定空き家と認定された建物は居住用住宅とみなされないため、特例の適用対象から外され、税負担が増大することになる。

 固定資産税の課税標準額は、毎年1月1日現在の現況で判断される。今年5月26日に総務省が全国の自治体に向けて発出した通知「住宅用地の認定について」には、特措法施行を受けて「賦課期日現在における当該家屋の客観的状況等に留意」するよう、促している。つまり、所在市町村の条例にもよるが、特定空き家を解体して更地化し、売却するなどの手をうつなら、年内にアクションを起こすことを考える時期に来ている。

 解体費の捻出が困難な納税者もいるだろう。その場合、住宅所在の市町村に相談する方法もある。管理の行き届かない住宅の増加は自治体にとっても悩みのタネで、例えば東京都足立区や前橋市、福井市、鹿屋市など、解体費の補助を始めるところも増えている。