結婚・子育て資金特例に落とし穴
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:05/14/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 結婚・子育て資金贈与の特例が4月1日から動き出している。これは平成27年度税制改正で創設された制度で、結婚や子育ての支払いに充てるために直系尊属から金融機関に信託等される金銭等について、受贈者1人につき1千万円(結婚関連は300万円)まで贈与税を非課税にするというもの。結婚式や披露宴、新居の家賃、引越費用、出産費用等が対象になる。

 平成25年度税制改正で創設された教育資金贈与の特例と同様に、使途を限定してまとまった金額を非課税で贈与できるようにすることで、富裕層が抱える資産を流動化させようという景気対策だが、贈与者が死亡した場合の取扱いには注意が必要だ。

 結婚・子育て資金贈与の特例では、適用期間中に贈与者が死亡した場合、金融機関に信託している管理残額を贈与者から相続により取得したものとして相続税の課税対象になる。例えば、結婚・子育て資金として1千万円を銀行に信託し、そこから結婚資金として100万円を使った後に贈与者が亡くなった場合、残額の900万円は相続財産に取り込まれることになる。

 これに対し、制度設計がよく似ている教育資金贈与の特例では、適用期間終了時に残額がある場合は贈与税の課税対象になるものの、適用期間中に贈与者が死亡しても管理残額が相続財産に取り込まれることはない。節税対策として同制度の適用を検討する場合はこの点に注意が必要だ。