3割の事業者が消費税率10%時の価格転嫁で不安訴え
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:08/20/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 日本商工会議所はこのほど、「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」結果(有効回答数3135事業者)を公表した。

 この調査は、過去2回実施されており、今回は、平成26年4月1日の消費税率8%へ引上げ後約1年経過し、中小事業者における消費税の転嫁実態を継続的に把握するとともに、平成29年4月に予定されている消費税率10%引上げに向けた実効性の高い価格転嫁対策等について、政府・政党への提言を行うため、5月下旬から6月中旬にかけて実施されたもの。

 調査結果では、消費税引上げ分の転嫁の状況は、約6割の事業者が「全て転嫁できた」と回答し、「一部転嫁できた」を合わせた約9割の事業者が転嫁できているが、「全く転嫁できなかった」と回答した事業者は約13%と昨年9月の前回調査に比べて約2ポイント増えている。増加した要因として日商では、調査対象に転嫁が困難な事業者の割合が高いBtoC事業者の割合が増えていることや、業種別で飲食業の「転嫁できた」割合が約5ポイント減少したためと分析している。

 また、消費税率10%引上げ時の転嫁について聞くと、「現在、消費税引上げ分を転嫁できており、今後も転嫁できる」が36%と、3人に1人強の事業者が今後も全て転嫁できると見込む一方で、「今後の販売状況や需要の動向が不明確なため、転嫁できるかどうかわからない」が30.3%、「商品・サービスの価格設定を見直す等で、消費税引上げ分の一部は転嫁できる」が23.5%と、順調に転嫁できると考えている事業者は決して多くない。特に、現在全く転嫁できなかったと回答した事業者の約7割が税率10%引上げ時の転嫁に懸念を示している。

 なお、政府等が行った消費税の転嫁対策の有効性(複数回答)についてみると、「政府のPRや広報等で、消費税は価格に転嫁されるものであるという認識が消費者に浸透した」が36.1%、「商工会議所から受けた転嫁対策アドバイスが役立った」が26.3%のほか、「転嫁拒否に対する取り締まりや広報等で、事業者や自治体が消費税の価格転嫁を容認した」との割合も7.7%あった。

 調査結果はこちら