建物の区分所有者が管理組合に支払う共同管理費は不課税取引
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:10/08/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 複合商業施設の建物に係る管理・運営、賃貸借事業を営む者が区分所有者として支払った共同管理費が課税仕入れに該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないことから、管理費の収受は資産の譲渡等の対価には該当せず、いわゆる不課税取引となるため、課税仕入れとしての処理は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、複合商業施設の管理・運営、賃貸借事業を営む者が区分所有者として支払った共同管理費を、原処分庁が消費税法上の課税仕入れに該当しないと否認、消費税及び地方消費税の更正処分等をしてきため、役務の対価であり課税仕入れに当たるとしてその全部取消しを求めた事案である。

 つまり、区分所有建物の管理組合に負担する管理費が建物の店舗、事務所等の使用形態による受益に応じて算定され、管理組合は建物の維持管理が業務であることから、管理業務という役務の提供の対価として支払ったものであり、消費税法上の課税仕入れに該当すると主張して、原処分の全部取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、管理費は管理業務費用を管理組合の構成員たる地位に基づいて負担しているにすぎず、管理組合が行う管理業務に対して何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないことから、管理組合における管理費の収受は資産の譲渡等の対価には該当せず、不課税取引になると認定した。しかし、管理費が課税仕入れに該当しないという前提で各課税期間の消費税額等を計算すると、審判所認定額は原処分庁の認定金額を下回る結果、各更正処分はいずれも一部取消しという結果になった。

(国税不服審判所、平成24年11月29日裁決)