売主に支払った固定資産税相当額は取得価額に算入すべきと裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/07/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 不動産の取得に際して売主に支払った固定資産税等相当額を取得した不動産の取得価額に算入すべきか否かの判定が争われた事件で国税不服審判所は、不動産の売買に伴って授受されたものであり事後費用とはいえないことから、不動産の購入の代価の一部であると認めるのが相当と判断、審査請求を斥けている。

 この事件は、買主である審査請求人が土地及び建物の取得に際して売主に支払った固定資産税等相当額を損金に算入して申告したところ、原処分庁が土地及び建物の取得価額に算入すべきであるとして法人税の更正処分を行ってきたため、その一部の取消しを求めて審査請求した事案である。

 つまり請求人側は、地方税法上の納税義務者として支払う固定資産税等そのものではないものの、売主との間でそれぞれの不動産の所有期間に対応する固定資産税等を負担したものであり、損金に算入すべきであると主張したわけだ。

 これに対して裁決は、地方税法上、賦課期日後に所有者に異動が生じたとしても課税関係に変動が生じるものではなく、同日後に固定資産の所有者となった者が納税義務を負うことはないと解釈。その上で、固定資産の売買後の期間に対応する未経過分の固定資産税等相当額が授受されたとしても、買主側の地方税法上の固定資産税等の納税義務に伴う負担とみることはできないと判断した。

 結局、不動産の売買契約書上の債権債務関係に基づいて授受され、かつ売買に伴って授受されたものであり、事後費用とはいえないことから、不動産の購入の代価の一部であると認定するとともに、固定資産税等相当額は不動産の取得価額に算入すべきであると判断して審査請求を斥けている。ただし、請求人が取得した不動産には、土地、建物のほか建物付属設備が含まれていたため、それぞれの取得価額を基に各資産の償却限度額等を再計算し直して、原処分の一部を取り消している。

(国税不服審判所、2012.07.05裁決)