納税猶予の不許可処分に裁量権の範囲の逸脱等はないと判断
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:12/06/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 納税猶予申請に対して不許可処分を下した原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったか否かの判定が争われた事件で国税不服審判所は、税務署長の裁量基準を示した猶予取扱要領は合理的であり、国税通則法46条2項5号に該当する事実は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、貨物自動車運送業を営む審査請求人が、売上げの減少などを理由に国税通則法46条2項(納税の猶予の要件等)に基づき納税猶予の申請をしたところ、原処分庁が、同項に該当する事実がないと判断、納税猶予を不許可とする処分をしてきたことから、その取消しを求めて審査事請求したという案である。

 つまり請求人側は、納税猶予の申請を許可するか否かは納税者の事業実態として納税を困難にしている事実の存否により判断されるべき性格のものであるが、請求人にはその事実が存在し、国税通則法46条2項5号の要件を充足していたのであるから、納税猶予を不許可とした原処分には裁量権の範囲の逸脱又は濫用があり、違法である旨主張して、全部取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、納税猶予の許否は税務署長の裁量的判断に委ねられていると解するのが相当であると指摘。また、税務署長の裁量基準を示した「納税の猶予等の取扱要領」(猶予取扱要領)の定めが合理性を有するものである場合は、税務署長の判断がその取扱要領の定めに従っている限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとの評価を受けることはないという考え方も示唆した。

 その判断に沿って事案の内容を検討すると、猶予取扱要領の定めは合理的であり、その定めに従えば、国税通則法46条2項5号(4号類似)に該当する事実があったということはできないと請求人側の主張を否定した上で、不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所2016.01.13裁決)