政府税調、中小企業の基準の見直し案浮上
カテゴリ:01.法人税, 14.各省庁関係 トピック
作成日:05/12/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 現行の中小企業の基準は資本金1億円以下というものだが、9日に開かれた政府税制調査会の法人課税専門委員会では、その基準を見直す案が浮上した。現行の中小企業向けの優遇措置は、法人税率軽減の特例を始め、中小企業投資促進税制や中小企業者等の少額減価償却資産の特例など多くの措置が講じられている。中小企業の基準を見直し、優遇の対象を減らすことが狙いとみられている。

 現行の中小企業の資本金1億円以下という基準では、全法人の99%が中小企業に分類されることになる。公平の観点から、この基準を数段階にする、または引き下げる案が出ている。また、中小企業に係る基準は資本金だけだが、高所得の中小企業が特例措置を受けているという会計検査院の指摘(平成22年10月)に鑑み、特別措置の適用に際して所得基準など他の基準を用いることが合理的な場合がある、との意見も出されている。

 中小企業者等の税率については、法人税法により基本税率25.5%から19%に軽減され、さらに特別措置法によりこれを15%まで軽減している(いずれも所得年800万円以下の部分)。所得階級別にみると、約73%の中小企業者が所得800万円以下であり、全ての所得が15%となっている。一方で、所得が5億円以上の中小企業が約3%存在する。これらの企業は多額の所得を得ながら中小企業向けの特例を受けている。

 こうした現状を踏まえ、資本金1億円以下という中小企業の基準を見直すことが検討される。委員からは、「軽減税率を含め多種の優遇措置が講じられている結果、収益力が低い企業が存続し、産業の新陳代謝が阻害される面がある」との指摘もあった。今後、法人課税においては税率の引下げが大きな焦点となるが、基本税率(25.5%)を引き下げる場合、現在の軽減税率についても必要性が再検討される。

 中小企業に係る税制の論点としては、個人・法人間の税制上の違いによって法人を選択する「法人成り」の歪みを取り除くべきとの意見があった。例えば、恣意的な配当の課税繰延べ等が行われるおそれがあることを考慮し、同族会社の留保金課税は、中小企業も適用対象とすべきとの案が示された。現行の留保金課税の適用対象は、1株主(その同族関係者を含む)による持株割合等が50%を超える特定同族会社に限られている。

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