留意したい賃貸用マンションの修繕積立金の取扱い
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:08/05/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 投資用の賃貸マンションを一室購入し、そのマンションの区分所有者となった場合に、マンション管理組合から毎月徴収される修繕積立金は、もちろん不動産所得の経費となる。ただし、いつの年分の必要経費に算入するかというと、原則としては、マンション管理組合へ修繕積立金を支払ったときではなく、実際にマンションの修繕が行われその修繕が完了した日の属する年分必要経費となるとされている。

 修繕積立金は、一般的には返金もされず毎月必ず管理組合へ義務的に支払うものだから、上記の原則的な取扱いに疑問のある向きもあるだろう。だが、そもそも必要経費として認められるためには、その年に債務が確定していることが原則となる。修繕という事実がなければ、それらにかかる債務も当然に確定していないことになるので、管理組合へ支払った時点では必要経費にはならないというのが原則的な考え方なのである。

 しかしながら、一定の要件を満たす場合には、例外的にマンション管理組合へ修繕積立金を支払った時点で必要経費にできる場合がある。それは、管理組合への修繕積立金の支払が、1)区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うこと、2)管理組合は、支払を受けた修繕積立金について区分所有者への返還義務を有さないこと、3)修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと。

 さらに、4)修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること、との4要件のいずれも満たす事実関係の下で行われている場合に、その修繕積立金の支払期日の属する年分の必要経費への算入が認められる。つまり、一般的なマンション管理組合の管理規約であれば、これらの要件は満たすと思われるので、ほとんどのケースで修繕の完了を待たずに必要経費となるといえそうだ。