繰延税金資産の回収可能性新ルール、4月にも草案とりまとめへ
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:02/20/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 税効果会計のルールの見直しを検討している企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)。現在、「繰延税金資産の回収可能性」をテーマにした適用指針の開発も詰めの段階に入っており、この4月にも公開草案を公表する構えだ。

 草案は、日本公認会計士協会の監査委員会報告第66号における企業の分類(5分類)に応じた取扱いの枠組みを踏襲した上で、当該定めの一部を修正する内容。例えば、(分類3)および(分類4)において、繰延税金資産の計上額を決定する際、過去の課税所得の推移や将来の業績予測等を考慮する定めを設ける。

 さらに、2月17日開催の第15回税効果会計専門委員会では、開示の拡充を巡り審議。現行、繰延税金資産の回収可能性に関連する開示項目には、発生原因別の主な内訳と繰延税金資産から控除した評価性引当額、がある。これらに、1)回収可能性の判断で用いられる、企業の「5分類」そのものを開示させる、2)会社の分類ごとにそれぞれ異なる情報開示を求める、案が示され、その有用性が議論された。

 1)には、作成者や監査人サイドから「分類だけで判断される可能性もあり、ミスリードを招く」などの指摘があった。2)は、例えば(分類3)に該当する会社が5年を超える期間の課税所得に基づいて繰延税金資産を計上する場合、「回収可能性があると判断した根拠や計上額」を開示させる措置。作成者や監査人サイドからは負担感が大きい、と再考を求める声が聞かれた。

 ASBJでは、引き続き適用時期も含め、開示項目のあり方を検討、3月中には目処を付けたい考えだ。