29年ぶりの1兆円割れとなった27年度の国税の滞納残高
カテゴリ:12.国税庁関係 トピック
作成日:08/08/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁が公表した平成27年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が、前年度に比べ8.2%減の9774億円となり、平成11年度以降17年連続で減少し、29年ぶりに1兆円を割ったことが明らかになった。新規発生滞納額は前年度に比べ16.2%増の6871億円と2年連続で増加したものの、整理済額が7744億円と新規発生滞納額を大きく上回ったため、滞納残高も減少した。

 今年3月までの1年間(平成27年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった平成4年度(1兆8903億円)の約36%まで減少した。また、平成27年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は1.2%だった。平成16年度以降、12年連続で2%を下回り、前年同様、国税庁発足以来の低水準が続いている。この結果、滞納残高はピークの平成10年度(2兆8149億円)の約35%まで減少した。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比33.5%増の4396億円と2年連続で増加し、税目別では11年連続で最多、全体の約64%を占める。一方で、整理済額が4533億円と上回ったため、滞納残高は3.9%減の3340億円と、16年連続で減少した。法人税は、新規発生滞納額が同5.9%減の634億円と2年連続で減少し、整理済額が832億円と大きく上回ったため、滞納残高も15.6%減の1069億円と8年連続で減少した。

 国税庁は、1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。

 近年は景気回復により税収は増えているものの、こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、今年3月末時点での全税目合計の滞納残高は、前年度を8.2%下回る9774億円となり、17年連続で減少したわけだ。滞納残高が1兆円を下回ったのは、昭和61年度(8778億円)以来29年ぶりとなっている。

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