保険金の二重課税に伴う還付不能額は非課税、利息相当額は雑所得
カテゴリ:12.国税庁関係 トピック
作成日:03/27/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 遺族が年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象部分については、所得税の課税対象にならないとする平成22年7月の最高裁判決により、同年10月に相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの見直しが、また平成23年度税制改正では相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の保険金受取人等である者又はその相続人に対し、平成12年分以後の各年分の対象保険年金に係る所得のうち所得税が課されない部分の金額に対応する所得税に相当する給付金を支給する制度が創設された。

 各自治体では、市民税等のうち地方税法等の規定で消滅時効となり還付できない過誤納金に相当する額について、納税者の不利益を補填し、税負担の公平の確保及び行政に対する信頼の回復を図る観点から、市民税等そのものの返還としてではなく条例に基づく給付金として還付不能額を支給する特例措置を講じているが、このほど長崎市は国税庁に対して、この「還付不能額」と、還付不能額に係る「利息相当額」の所得区分について事前照会を行った。

 これに対し国税庁は、還付不能額については、支給対象者の所得を構成するものであるが、不利益を補てんする目的であることや、市民税等を多く納め過ぎたことにより生じた財産的な損害に対する一種の損害賠償金的な性質を有するものであることなど支給目的、性質からすると、所得税法第9条の「資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金その他これに類するもの」として非課税所得に当たるとしている。

 一方、利息相当額については、1)損害賠償金的な性質を有する還付不能額に7.3%の割合を乗じた金額を支給するものであること、2)還付不能額に係る一種の遅延利息ないし逸失利益のとしての性質を有するものであることから、非課税所得には該当しないとした上で、「市民税等の法定納期限等の翌日から本件特別返還金の支給決定日までの期間の日数に応じた金額が支給されることからすると、その所得源泉には継続性があり、対価性のない一時の所得である一時所得にも該当しないことから、支給決定通知のあった日の属する年分の雑所得に該当する」と判断した。